こんにちは。ISV糸見です。
6月に入りベトナム南部のサイゴンも本格的な雨季に入りました。
毎年、雨季の始まりと終わりには、きまって夕方から夜にかけて激しい風と雨のスコールがやってきます。
スコールが過ぎると、大雨により街中の至る所で道路は冠水し、雨宿りをしていた人々が路地から一気にバイクで溢れだす。市内は車とバイクで大渋滞となりクラクションが鳴り響きます・・・これはもう雨季の風物詩です。
雨上がりのアスファルトや土が濡れた後の、あの匂いはどことなく懐かしく心地よく感じます。
そうえいば最近、ベトナムの匂いを感じなくなりました。
若い頃は日本からベトナム航空機に乗り込んだ瞬間から、ベトナム特有の匂いを感じたものです。
ドリアンの匂い、香草の匂い、ヌックマムの匂い、フォーの匂い、安っぽい香水の匂い、人で溢れかえる市場の匂い・・・東南アジアの中でもベトナム特有の匂いを感じ取れました。
ベトナムの発展に伴い、街の匂いもなくなってしまったのか、年を重ねて嗅覚が落ちて来たのか、
30年も生活する内にすっかりベトナムの匂いが染みついてしまったのか定かではありません。
特定の匂いが過去の記憶を鮮明に呼び起こす現象は「プルースト効果」と呼ばれます。
フランスの文豪マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」から、紅茶に浸したマドレーヌを口にした瞬間、幼少期の記憶が鮮やかに蘇るという描写から来ているそうです。
雨季のはじまったサイゴンで、雨上がりの匂いから、ふと30年前の何も無かったあの頃のベトナムの記憶が鮮明に蘇りました。
「初心忘るべからず」もう一度、ベトナムに来た当初の謙虚でアグレッシブな気持ちで「挑戦」し続けなければと思いました。
【ベトナムのグリーンな未来~EVバイクと人間味はどこに?】
ご存知のようにベトナムはバイクの国であり、人口約1億人に対してバイク登録台数は8,000万台以上と、
子どもや高齢者を除けば、国民1人につき1台以上の割合でバイクを保有している計算になります。
ベトナム人は50メートル先でもバイクに乗って行くと言われ、街中でも郊外でも歩いている人がほとんどいません。
そんな中で、排気ガスによる環境悪化は必至で、政府によるグリーン化も急速に進もうとしています。
ハノイ中心部へのガソリンバイクの乗入禁止も、紆余曲折ありながら、配達アプリのバイクや時間制限制の導入など、
まずは、影響の少ない範囲で実施される見込みです。
最近、サイゴンの街中で100メートル毎に一つくらいの間隔で、歩道に「青い大きな箱」が置かれ出しました。
よ~く見ると、6個くらいの穴があいており、EVバイク用のバッテリー交換用の充電設備と思われ、
VINFASTのロゴもあるので、ベトナム巨大財閥ビングループのEV子会社専用のものであることが分かります。
自宅で充電しなくとも、走っている途中で電池が無くなりそうな場合は、この機器で1回8000ドン(約50円)バッテリー交換できるようです。しかも新規のバイク購入者には2~3年間バッテリー交換が無料で、ガソリン車に給油するよりも圧倒的に安く便利になる計画です。
それにしても本当に街中の至る所にトラックで運んで、適当に落として行った感じで突然現れました。
今のところ歩道に置いてあるだけで、電気も繋がれていませんが・・・いつか、その内、きっと利用できるんでしょう。
いつ開始されるかも分からない、この適当な見切り発車感がベトナムの魅力であります。
昨年のベトナム全土でのバイク販売台数は260万台で、内、約85%の220万台以上はホンダ製バイクですが、来たるべきEVバイク化に備え、ビングループ「VINFAST」の大攻勢により、ヤマハを抜き販売台数2位に浮上しました。ちなみに自動車は既にVINFASTがトヨタを抜き昨年販売台数1位になっています。
ただ、そんなVINFASTもEV車事業は大赤字で製造部門を分離してグループの赤字を解消しようとしています。
ベトナムでは配車アプリの「Grab」や、ECコマースの「Shopee」など、当初は大赤字でも莫大な資金を投下し、短期間で一気に市場シェアを取りに行く「ブリッツスケーリング(直訳すれば電撃的規模拡大?)」戦略が多いように感じます。
急成長しているベトナムでは、まだまだ未成熟な巨大市場であり、かつデジタルネイティブな若者が多い人口構成ですから、このように赤字覚悟でも一気にシェアを独占的に獲得しに行く戦略は有効的なのかもしれません。
かつて、ベトナムではテレビや冷蔵庫などの家電から、バイクや自動車まで全ては日本企業製であり、「メイド・イン・ジャパン」は憧れの的でしたが、時代の流れは凄まじく早く、変化は容赦ないですね。
AIによるDX化と、EVによるGX化、生産性も環境も一段と良くなりますが、それと引き換えに、もう何年、何十年かするとサイゴンも無機質な街となり、街特有の匂いも本当に消えてしまうかもしれません。
サイゴンの街中を、音もしないEVバイクが走り回ると想像するだけで何だか物寂しいですね。
この喧騒と雑多な感じ、街の匂い、心地よい適当さ、人間味のあるベトナムの本質は変わらないでほしいと願うばかりです。
【ベトナムの生成AI利用率26.5%で東南アジア2位】
ベトナムの生成AI利用率26.5%でシンガポールに次いで東南アジア2位となりました。世界平均の生成AI利用率は17.8%となり、ベトナムはデジタルネイティブの若い人口に支えられ世界平均を大きく超えています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
糸見 圭太郎 Keitaro Itomi